4E用コンロッド入荷しました

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追加生産するか悩んでいた4E用のコンロッドですが、お勧めできる代替品も無いので製作しました。

Scat製は安価なのですがやたらと重たく、ブロックと豪快に干渉します…。800馬力くらいまで耐えられそうなゴツさですが、普通そんなに出さないしw
他だとMaxpeedingrodsとかいう怪しいメーカーの物くらいしか無く、他メーカーは大幅に高価。


今回のロットは3/8″ボルト込みで405g前後に仕上がっていました。かなり軽めの設計なのですが、純正の貧弱なコンロッドよりは重たいです。その分以上に強度は圧倒的に強いです。300ps程度でも問題ありません。それくらい出すとミッション壊れますがw

ブーストアップやポン付けタービン、TD05あたりに最適です。既製品だと価格と強度と重量のバランスが一番良いと思います。

ボルト周りの形状も良いです。

ボルト先端側もきちんとネジ山を切除して応力の集中を防ぐ作りです。

ブッシュ入りフルフロー仕様です。社外ピストンとの組み合わせを前提としています。

スターレット乗りの力になれば幸いです。

寸法など詳細はオンラインショップにてご確認ください。5E用も用意しています。

バルブ擦り合わせの方法

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先日のシートカットに引き続き、バルブの擦り合わせ方法を紹介します。

バルブガイドの清掃から

初めにバルブガイドの内径をスパイラルブラシ等で清掃します。バルブステムも清潔なウエス等で拭き取ります。

バルブにタコ棒を貼り付け、当たり面に適量のバルブコンパウンドをつけ、バルブガイドに挿入、擦り合わせを行います。シートカット済みだと細目を使用します。コンパウンドの量はバルブサイズによります。バルブサイズ30㎜で米粒より小さめで十分だと思います。多すぎるとはみ出して無駄になるので、やりながら調整してください。初期馴染みの促進や当たりの確認でやる分には一か所5秒~10秒程度で十分です。両手が塞がるので写真は無しw

擦り合わせ直後

擦り合わせが終わったらコンパウンドを軽く拭い、状態を確かめます。

コンパウンドで削られた部分が梨地になっています。一周均一に仕上がっていれば完成です。

バルブも同様に拭き取ります。こちらも均一に当たっているか確認します。

最終チェック

最後にそのままの状態で、ごく軽く擦り合わせを行うと当たっている箇所の色が濃くなり、正確に分かります。濃くなった線が一周綺麗につながっていれば大丈夫です。拭き取った残りのコンパウンドの油分や砕けた粒子によって極細目で擦り合わせをやったような状態になります。光明丹を使用するより正確に当たりが分かり、手間もかからないのでこの方法はおすすめです。

拭き取りの際に脱脂したり、擦り合わせをゴリゴリやるとカジるので気を付けてね。

バルブシートカットの方法

ニューウェイ社のバルブシートカッターを使用したシートカットの方法を紹介します。サンプルのエンジンはホンダのK20Aです。

施工前のバルブシート

施工前の排気側のバルブシートを見ると、当たり面の45度面にカーボンを噛み込んだ痕の凹凸があり本来のシール性能が低下している事が見て取れます。今回のエンジンの走行距離は約10万キロです。シビックR用ですが、割と普通に使われていたエンジンだと思います。

パイロットステムの取り付け

パイロットステム(カッターのガイド棒)をバルブガイドに挿入します。挿入前にガイド内を清掃、パイロットステムも拭き取って下さい。異物を噛み込むと傷がついたりパイロットが斜めになります。固定式パイロットステムの場合、差し込み部分が微妙なテーパーになっているので抜き取り用のピンを使用し軽く捻りながら差し込む事で固定します。

刃の調整

加工直径に合わせて刃の位置を調整します。

落とさないよう注意

カッターは静かに設置します。落とすとバルブシートに傷が入り、刃の損傷にも繋がります。

パイロットステムの垂直度、バルブシートの歪みを確認するため、手で軽く回します。

カッターの当たりチェック

全周に渡って刃が光沢が出ていれば刃が当たっているので大丈夫です。片側のみ当たったり、部分的に当たらない場合、パイロットステムが斜めになっているかバルブシートが歪んでいる可能性があるので確認してください。

いよいよシートカットを行います

イージーターンレンチを使用する場合、片手で垂直に保持、加圧し、もう片手で回転させます。連続で回転させられるのでTレンチと比べ簡単に効率的に加工が出来ます。

加工後のカッター

加工後には刃に切り子が付くので毎回ブラシで清掃してください。

今回は元状態より外当たりにするため、45度にて軽くカット、60度にて当たり幅調整、45度にて仕上げ加工という順序で加工しました。十分に外当たりになっている場合30度も使用します。

バルブシートカット後 事前に75度とポート研磨で内径拡大してあります。

納得の行く状態になったら完成です。

NEWAY社バルブシートカッターの詳細はこちらをご覧ください。

次回の記事はバルブすり合わせと当たり確認の紹介を予定しています。

恐怖の社外エアフロセンサー

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近年の四輪エンジンは排ガス低減の為、ほぼ100%がエアフローセンサーを採用していると思われます。精密な計測を行うセンサーで定期的な交換が必要になります。

Amazon等で検索すると格安な互換品を謳う商品が見つかる場合もありますが、出力特性を似せただけの粗悪品で結構危険なのでご注意ください。

コピー品には品番、メーカー刻印が無い

純正品との比較

吸気温度センサー素子比較

右が純正品です。エンジンの振動を受けるのでセンサー素子の足は板状の専用品になっています。左のフェイクは一般的なセンサー素子をはんだ付けしてあるので折れる確率が高いです。折れたら運次第で燃焼室行きです。素子の上の開口部の形状も全然違いますねw

ホットワイヤ部分比較

この例ではホットワイヤ式なのですが、それぞれ2個並んでいるセンサー素子の左側の形状がコピー品の方は大きく異なります。2個並んでいるのは、特性が異なる素子を使い分け低流量と高流量を幅広く高精度で計測するためです。左側は高流量側です。熱容量が大きくなるとセンサーの反応が悪くなります。

このセンサーがついていた車両の場合、低負荷で走っている分には大きな違和感は無いのですがアクセルを大きく開けた瞬間にセンサーの反応が間に合わず、燃料が薄く、息継ぎ症状が出ていました。

エアフローセンサーは燃料制御と点火時期制御の基準になる重要なセンサーです。エンジンの調子を保つには純正品を使用してくださいね。

鍛造クランクと鋳造クランクの見分け方

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純正品の場合、クランクシャフトの製法は鍛造と鋳造の2種類があります。あなたの車のクランクはどっちか知ってる?

洗浄台にちょうどクランクが並んでいたので撮影しました。別のエンジン用なので形状の違いは置いておくとして、製法により顕著にことなるのが矢印部分の型の合わせ部分の形状です。

左の境目が細い線になっている方が鋳造です。ぴったり合わさった砂型に溶けた鉄を注いで作るので、無加工の場所は型の合わせ目がそのまま残ります。

右の鍛造の方は金型で圧力を掛けて成型するのですが、複数回の工程があり、工程ごとに誤差がでます。その個体差を吸収するため、金型の合わせ面に余肉の逃げ場があり、切断したり削って仕上げてあります。そのため合わせ面の跡の幅は広めになります。

性能面ではどうなのか?

製法の違いそのものでも強度差が出ます。鋳造だと組織を均一にすることが難しく、巣穴等の微小な欠陥が出来やすいです。対して鍛造だと成形の過程できれいに鍛流線という層の流れが出る為、強度が向上します。更に使用する材質が大きく異なり、鋳造だと溶けた際にサラサラと流れ込みやすい合金が好まれます。対して鍛造は高温下で強い力で変形させても割れないような粘りがある合金が使用されます。クランクの場合、粘りのある材料の方が割れにくく、高回転や高出力に向いています。エンジンによってはグレードによって別のクランクが使用されているものもあります。

一部の人気車種向けには高性能なクランクが市販されていますが、それ以外だとあるものを使用するか、切削で製作する事になります。

チューニングを考えると限界はクランクやブロックで決まる場合が多いです。
エンジンの音や回転フィーリングにも大きく関わる個所ですが、クランクのオーバークオリティーが省燃費の要求と相反する事につながる為、大きなチューニングポテンシャルを持つエンジンは減りつつあります。

どうする?手始めにクランク作る?ってのは嫌だなw

プライベーター向け情報

鋳造クランクの注意点

  • 錆びやすい 水溶性の洗浄剤での漬け置きは注意というか非推奨
  • 超音波洗浄非推奨 結晶が脱落する
  • 曲がり修正が怖い

追加情報

直列六気筒鍛造クランクの製造工程(外部リンク、後半に写真と説明があります)

点火プラグの交換時期 チューニングエンジンの場合

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材料や製造技術の進歩によって純正の点火プラグの交換時期は大きく伸びていますが、サーキット走行などの高負荷運転時やチューニングエンジンの調子を維持するためには小まめな点検交換をお勧めします。

高負荷の状況下だと中負荷と比べて失火しやすくなります。そのような条件下で確実に火花を飛ばすにはプラグの状態が重要になってきます。

新品プラグの中心電極

電気火花、つまりアーク放電なのですが、特性として尖ったところから飛びやすいです。新品のプラグの中心電極は円柱状でヘリは鋭角です。

中古プラグの中心電極

使用距離1万キロ程度の中古プラグですが、中心電極のヘリが微妙に丸まり始めています。

仕様にもよりますが、街乗りと兼用の場合で1万~1万5千キロで交換、サーキット専用の場合は小まめに点検、一年に一度は交換して良いと思います。

プラグの焼け具合でエンジン不調の早期発見にもつながります。