鍛造クランクと鋳造クランクの見分け方

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純正品の場合、クランクシャフトの製法は鍛造と鋳造の2種類があります。あなたの車のクランクはどっちか知ってる?

洗浄台にちょうどクランクが並んでいたので撮影しました。別のエンジン用なので形状の違いは置いておくとして、製法により顕著にことなるのが矢印部分の型の合わせ部分の形状です。

左の境目が細い線になっている方が鋳造です。ぴったり合わさった砂型に溶けた鉄を注いで作るので、無加工の場所は型の合わせ目がそのまま残ります。

右の鍛造の方は金型で圧力を掛けて成型するのですが、複数回の工程があり、工程ごとに誤差がでます。その個体差を吸収するため、金型の合わせ面に余肉の逃げ場があり、切断したり削って仕上げてあります。そのため合わせ面の跡の幅は広めになります。

性能面ではどうなのか?

製法の違いそのものでも強度差が出ます。鋳造だと組織を均一にすることが難しく、巣穴等の微小な欠陥が出来やすいです。対して鍛造だと成形の過程できれいに鍛流線という層の流れが出る為、強度が向上します。更に使用する材質が大きく異なり、鋳造だと溶けた際にサラサラと流れ込みやすい合金が好まれます。対して鍛造は高温下で強い力で変形させても割れないような粘りがある合金が使用されます。クランクの場合、粘りのある材料の方が割れにくく、高回転や高出力に向いています。エンジンによってはグレードによって別のクランクが使用されているものもあります。

一部の人気車種向けには高性能なクランクが市販されていますが、それ以外だとあるものを使用するか、切削で製作する事になります。

チューニングを考えると限界はクランクやブロックで決まる場合が多いです。
エンジンの音や回転フィーリングにも大きく関わる個所ですが、クランクのオーバークオリティーが省燃費の要求と相反する事につながる為、大きなチューニングポテンシャルを持つエンジンは減りつつあります。

どうする?手始めにクランク作る?ってのは嫌だなw

プライベーター向け情報

鋳造クランクの注意点

  • 錆びやすい 水溶性の洗浄剤での漬け置きは注意というか非推奨
  • 超音波洗浄非推奨 結晶が脱落する
  • 曲がり修正が怖い

追加情報

直列六気筒鍛造クランクの製造工程(外部リンク、後半に写真と説明があります)

Lotus純正ECU書換の限界点

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Lotus ECU 各種

当社の得意とするElise、Exige系の純正ECU書き換えですが、純正のプログラムを使用し、各種マップの数値を変更して対応しているため、対応可能な物には限りがあります。

ハードウェア変更の限界

四連スロットル化や他社用イグニッションコイルの流用は制御の兼ね合いで対応不可能です。

レース向け機能への対応が困難

パドルシフト化等は難しく、後付けユニットで対応してもエンジンチェックランプが点灯すると思われます。

レブリミットの限界

ECU内の回転数設定のレブリミット設定や各種マップの回転軸の限界が約8500rpmとなっているため、8500rpmが限界となります。これはS2RoverよりS3最終型まで共通です。

別の見方をすると、上記以外の変更だと結構対応出来たりします。
ECU込みのキットでも調子が悪い場合などお気軽にお問い合わせください。

特注バルブシートカッター

中央のバルブシートカッターは普通のカッターです。右側に映り込んでいるやつが今回の主役です。

右側のカッターがバルブ直径約90㎜用に特注した物です。希望の直径、角度にて製作可能です。パイロットステム(ガイド棒)も特注できますので、船舶用のエンジンなど、二輪、四輪以外にも対応可能です。バルブサイズ70㎜、バルブステム直径12㎜までは通常ラインナップでも対応できます。まれにバルブシート用ではなく、テーパー加工用の工具としての注文も受けたりしています。同軸の穴があればパイロットステムをガイドにテーパーの座面が加工できるので、何かお困りでしたらご相談ください。

バルブシートカッターのサイズについて

NEWAYのバルブシートカッターは通常は刃の位置が調整できる構造になっています。どういうことかというと

刃を最も内側に移動した状態、両面式のカッターなので、ハブに当たる寸前が限界となります。
今回紹介しているサンプルはスタンダードシリーズでは小さめのCU230、本体直径31.8㎜(表記サイズ、黄色部分の実寸は31.4㎜程度)です。これより大きいものだと本体外径よりも多少内側に移動できます。

最大位置だと本体直径よりも大きな径を加工できます。このカッターの場合、30度側が38㎜、45度側が37㎜程度まで加工できそうです。

カッターを選定する際には基本的にはバルブと同等かやや小さめを推奨します。吸気側と排気側でバルブサイズが異なりますが、うまく調整範囲に収まる場合は1サイズで対応できる場合もあります。

選択に迷ったらお気軽にご相談ください。

点火プラグの交換時期 チューニングエンジンの場合

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材料や製造技術の進歩によって純正の点火プラグの交換時期は大きく伸びていますが、サーキット走行などの高負荷運転時やチューニングエンジンの調子を維持するためには小まめな点検交換をお勧めします。

高負荷の状況下だと中負荷と比べて失火しやすくなります。そのような条件下で確実に火花を飛ばすにはプラグの状態が重要になってきます。

新品プラグの中心電極

電気火花、つまりアーク放電なのですが、特性として尖ったところから飛びやすいです。新品のプラグの中心電極は円柱状でヘリは鋭角です。

中古プラグの中心電極

使用距離1万キロ程度の中古プラグですが、中心電極のヘリが微妙に丸まり始めています。

仕様にもよりますが、街乗りと兼用の場合で1万~1万5千キロで交換、サーキット専用の場合は小まめに点検、一年に一度は交換して良いと思います。

プラグの焼け具合でエンジン不調の早期発見にもつながります。