7AG 20バルブヘッド用ピストンの製作例

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7A-FEという実用エンジンに高性能版の4AG用のヘッドを載せる7AGですが、基本的に16バルブ(92後期)、20バルブ(AE101orAE111)のシリンダーヘッドを使用する場合が多いと思います。これは7A用5mmロングコンロッド+AE111ヘッド用で製作した例です。

単体重量は243gと超軽量

このトップ形状で圧縮比12.5:1になります。4AGだともっと盛り上がった形状になります。これがストロークアップの恩恵で、ピストン容積をあまり稼がなくても十分な圧縮比が確保できます。燃焼室形状が良くなり、燃焼状態も良くなります。結果としてストロークアップ以上にトルクが出せます。

最新のスリッパータイプのスカート形状

スカート長も長めの寸法を指定して耐久性や静粛性に配慮しています。

ピストンピンオフセットも設定してあり、鍛造ピストンにありがちなスラップ音も出にくいです。

Xタイプ鍛造型使用

CP社のXタイプ鍛造型を使用しています。

各部に当社のノウハウが注ぎ込まれています。

一台分のみ在庫あり。オンラインストアで販売中です。

7AG用 5mmロングコンロッドの紹介

7A long rod

4Aの排気量アップの定番の7A-FE改7AG。元が中低速重視の実用エンジンなので純正コンロッドは脆弱で、高回転向けにチューニングするには交換が推奨される箇所です。ただ強化するだけでは勿体ないので5mmロングコンロッドを作りました。

芯間距離を5mm延長、ピン径は20mm、ブッシュ入りフルフロー。ボルトはARP2000 3/8インチで純正ボルトよりかなり強いです。強度と重量のバランスの良いところを狙って設計しました。

ボルト付近の形状もうまく処理できています。

メタル位置決め用のノッチが2種類あり、7A純正メタルかF20C用のメタル(いわゆるブラックメタル)が使用できます。

専用の5mmショートピストンが必要となります。スズキ ハヤブサ用ピストンも流用出来るとか(流用は各自で調査してから自己責任でやってください)。ご希望のボア、圧縮比での受注生産となります。

寸法等の詳細はこちらよりご確認下さい。

ピストンも数種類在庫があるので近日中に紹介、オンラインストアに掲載予定です。

4E用コンロッド入荷しました

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追加生産するか悩んでいた4E用のコンロッドですが、お勧めできる代替品も無いので製作しました。

Scat製は安価なのですがやたらと重たく、ブロックと豪快に干渉します…。800馬力くらいまで耐えられそうなゴツさですが、普通そんなに出さないしw
他だとMaxpeedingrodsとかいう怪しいメーカーの物くらいしか無く、他メーカーは大幅に高価。


今回のロットは3/8″ボルト込みで405g前後に仕上がっていました。かなり軽めの設計なのですが、純正の貧弱なコンロッドよりは重たいです。その分以上に強度は圧倒的に強いです。300ps程度でも問題ありません。それくらい出すとミッション壊れますがw

ブーストアップやポン付けタービン、TD05あたりに最適です。既製品だと価格と強度と重量のバランスが一番良いと思います。

ボルト周りの形状も良いです。

ボルト先端側もきちんとネジ山を切除して応力の集中を防ぐ作りです。

ブッシュ入りフルフロー仕様です。社外ピストンとの組み合わせを前提としています。

スターレット乗りの力になれば幸いです。

寸法など詳細はオンラインショップにてご確認ください。5E用も用意しています。

バルブ擦り合わせの方法

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先日のシートカットに引き続き、バルブの擦り合わせ方法を紹介します。

バルブガイドの清掃から

初めにバルブガイドの内径をスパイラルブラシ等で清掃します。バルブステムも清潔なウエス等で拭き取ります。

バルブにタコ棒を貼り付け、当たり面に適量のバルブコンパウンドをつけ、バルブガイドに挿入、擦り合わせを行います。シートカット済みだと細目を使用します。コンパウンドの量はバルブサイズによります。バルブサイズ30㎜で米粒より小さめで十分だと思います。多すぎるとはみ出して無駄になるので、やりながら調整してください。初期馴染みの促進や当たりの確認でやる分には一か所5秒~10秒程度で十分です。両手が塞がるので写真は無しw

擦り合わせ直後

擦り合わせが終わったらコンパウンドを軽く拭い、状態を確かめます。

コンパウンドで削られた部分が梨地になっています。一周均一に仕上がっていれば完成です。

バルブも同様に拭き取ります。こちらも均一に当たっているか確認します。

最終チェック

最後にそのままの状態で、ごく軽く擦り合わせを行うと当たっている箇所の色が濃くなり、正確に分かります。濃くなった線が一周綺麗につながっていれば大丈夫です。拭き取った残りのコンパウンドの油分や砕けた粒子によって極細目で擦り合わせをやったような状態になります。光明丹を使用するより正確に当たりが分かり、手間もかからないのでこの方法はおすすめです。

拭き取りの際に脱脂したり、擦り合わせをゴリゴリやるとカジるので気を付けてね。

バルブシートカットの方法

ニューウェイ社のバルブシートカッターを使用したシートカットの方法を紹介します。サンプルのエンジンはホンダのK20Aです。

施工前のバルブシート

施工前の排気側のバルブシートを見ると、当たり面の45度面にカーボンを噛み込んだ痕の凹凸があり本来のシール性能が低下している事が見て取れます。今回のエンジンの走行距離は約10万キロです。シビックR用ですが、割と普通に使われていたエンジンだと思います。

パイロットステムの取り付け

パイロットステム(カッターのガイド棒)をバルブガイドに挿入します。挿入前にガイド内を清掃、パイロットステムも拭き取って下さい。異物を噛み込むと傷がついたりパイロットが斜めになります。固定式パイロットステムの場合、差し込み部分が微妙なテーパーになっているので抜き取り用のピンを使用し軽く捻りながら差し込む事で固定します。

刃の調整

加工直径に合わせて刃の位置を調整します。

落とさないよう注意

カッターは静かに設置します。落とすとバルブシートに傷が入り、刃の損傷にも繋がります。

パイロットステムの垂直度、バルブシートの歪みを確認するため、手で軽く回します。

カッターの当たりチェック

全周に渡って刃が光沢が出ていれば刃が当たっているので大丈夫です。片側のみ当たったり、部分的に当たらない場合、パイロットステムが斜めになっているかバルブシートが歪んでいる可能性があるので確認してください。

いよいよシートカットを行います

イージーターンレンチを使用する場合、片手で垂直に保持、加圧し、もう片手で回転させます。連続で回転させられるのでTレンチと比べ簡単に効率的に加工が出来ます。

加工後のカッター

加工後には刃に切り子が付くので毎回ブラシで清掃してください。

今回は元状態より外当たりにするため、45度にて軽くカット、60度にて当たり幅調整、45度にて仕上げ加工という順序で加工しました。十分に外当たりになっている場合30度も使用します。

バルブシートカット後 事前に75度とポート研磨で内径拡大してあります。

納得の行く状態になったら完成です。

NEWAY社バルブシートカッターの詳細はこちらをご覧ください。

次回の記事はバルブすり合わせと当たり確認の紹介を予定しています。